
【三次紙太鼓の由来】
平成10年のNHK大河ドラマ「元禄繚乱」。三次も阿久利の生い立ちから長矩の刃傷事件の発生、連座者の赦免運動、そして終生三次を忘れなかった瑤泉院が改めて300年前の三次を馳せてくれました。
「陣太鼓」
「おや、今日も魚釣りでお疲れの様子。ようもまあ、毎日…」。行灯(あんどん)に灯を入れ終えた兄嫁は、うたた寝の半之丞の背に皮肉を浴びせると、ピシャリと障子を閉めて立ち去った。 数日前に張り替えられた障子が、とっぷり暮れた夜の中でほの白く浮いて見える。行灯の灯がその白さへかすかな影をゆらめかせている。ごろりとあお向けになった半之丞は、暗い天井を見上げて「ふう」と吐息をついた。「あれから、もう5ヶ月か」 元禄14年3月14日、赤穂藩主浅野内匠守長矩は、江戸城中で吉良上野介義央を刃傷。ために長矩切腹、赤穂浅野家断絶、城明け渡しの幕府裁定となった。三次浅野家から長矩に嫁いでいた阿久利姫は尼となり、藩士四散、その大半は浪人となった。 馬廻り役百石の菅谷半之丞も浪人となり、大望を秘めたまま、三次の兄を頼っての現在があった。「ご家老の御下知はいつであろう。それまでは足がいかにも不自由と見せ、好きでない魚釣りにうつつを抜かし、僅かな金を兄に無心しては酒飲む夜を過ごす。大望を知られてはならぬ為とはいえ、毎日がさげすみやそしりのルツボのようじゃ。だが、切腹しお果てなされた御主君の御無念と、吉良上野介への恨みごとをはらす苦行ではある。他の同志の方々も、それぞれご苦労のことであろう。まして、頭領の大石様に比ぶれば、なんのこれしき・・・」兄嫁が腹立ちまぎれにしめ切った障子が、8月の夜の暑気を部屋に閉じこめて、半之丞に苦い汁をねばりつかせる。「本願成就の暁まで、親兄弟といえどもわれらが大望を覚られてはなるまいぞ。吉良の手の者の眼も、いつ、どこに光っておるやも知れぬ。しかと、ご油断なきように」家老大石内蔵助良雄の重い声を胸の内でくり返しながら、わずか47名となった同志一人一人の顔を思い浮かべていた半之丞は、ふと頭をもたげた。障子に何やらポン、ポンとぶっかる音を聞いたからである。 障子にゆらぐ行灯の明かりを求めて、やみの中から、飛んできたカナブンブンであろうか。しつようにぶっつかるその音を聞きながら、半之丞はいつしか、大石良雄が吉良家門前で討ち入り合図に討ち鳴らす山鹿流陣太鼓の、とうとうとした響きと重ね合わせているのであった。
「三次紙太鼓」
後世、菅谷半之丞について菅茶山は「筆のすさび」に、「にせ難歩行、「にせ難聴、日々魚釣りなどで人の耳目を避けていた」と書き、三次代官頼杏坪は、半之丞が住んでいた徳永某別宅の甲斐庵訪問の感想を、「人皆驚嘆、日彼魯鈍、皆佯而、深自韜晦」(義士であったことに三次の人は驚いた。日頃彼は馬鹿だと思っていたが、それは世を欺くための偽りで、己の志は深く包み隠していた)と「甲斐庵記」に書いている。
さて、現代の三次紙太鼓由来によれば、半之丞は山鹿流陣太鼓に似せた紙太鼓を創ったとある。竹枠に和紙を張った素朴な物であろう。討ち入りの時の陣太鼓の響きを紙太鼓に託して、人知れずひっそりと打ち鳴らしながら、己の心を励ましていたのだろうか。元禄15年12月14日、赤穂浪士47名は吉良上野介を殺害、その目的を果たした。(この年、奥羽地方大凶作、餓死者多数、浪士たちが切腹させられた翌16年は南関東大地震、江戸に甚大な被害。この天変地異による人心不安もからんでか、赤穂浪士討ち入り事件はことさらに誇張粉飾され伝えられている)時代のヒ−ロ−の一人となった半之丞の紙太鼓は、三次町の鳳源寺に保存されていたが、同寺が火災の折り焼失したと言う。
【三次紙太鼓を復活させた人ー大谷周治さんー】
この話を鳳源寺の十三世住職義貫老師から聞いて、紙太鼓復元を志したのは三次市三次町の大谷周治さんである。だが、実物を知る者はいない。ある絵本で大石良雄が叩いている陣太鼓にヒントを得た大谷周治さんは、昭和35年にその形の復元試作にかかった。和紙に渋を塗って竹枠に張ったが、破れやすく音量も弱い。そこでベニヤ板を輪に曲げて枠を作り、モルテンフレックスを塗った飼料袋を張ると張力もあって強く、音量も大である。形も崩れない。最近は枠に工事用円形ボイドの輪切りを使用。「三次新民芸品として、三次に紙太鼓を鳴り響かせたい」と大谷さんは製作指導に情熱を傾けている。紙太鼓製作指導に情熱を燃やして40数年そして脳卒中の病と闘いながらも、情熱を失う事なく続ける大谷さんに「元禄繚乱」と共に拍手を送りたい。
【三次紙太鼓はこうして作る】
工事用円形ボイドを輪切りにします
下地用クラフト紙を太鼓の径に合わせて切り抜きます
それに木の棒で作った柄を取り付けます。(飾り用の紙太鼓は柄は不要)
両面に下地用紙(クラフト紙、飼料袋、またはセメント袋)を2回貼り合わせます 
側面に飾り紙(和紙千代紙)を貼ります 
飾り房をつけます
化粧箱 
出来上がった三次紙太鼓 飾り用大30cm
【三次紙太鼓のいろいろ】
★色々な紙太鼓
←紙太鼓はいかが?
←柄付紙太鼓
←手前は紙太鼓小(16cm) 後ろは紙太鼓中(26p)
紙太鼓中
紙太鼓大(30cm)→

★三次どんちゃん鼓踊り
7月最終土曜日、明るいうちから夜中まで市街地の街道を踊りゆく人々と見物人の歓声で街中が湧き上がる。
「三次紙太鼓」の音が響きわたる。
【小学生ー三次紙太鼓作りに挑戦】
